2020.11.23
根子岳での山岳救助に携わる貴重な経験をしたので。
この日、自分たちは朝から外岩でのクライミングを楽しんでいた。
夕方になり、下山して携帯の電波が入ると阿蘇在住の山仲間(以下A氏)から「根子岳で滑落事故発生。来れますか?」とニュースのスクリーンショットと共にメッセージが送られてきた。(19時ごろ)
幸い明日も休み。今から動ける。帰宅し、超特急で支度をする。
私には山岳救助の経験はない。何がいるのだろう?フルで頭を回転させる。
夜を明かす可能性があるのでツエルト、エアマット、ダウン上下、シュラフカバーなど最低限のビバーク装備。日が暮れると気温はおそらく氷点下。要求は防寒着を持っているのだろうか?ロープは?クライミングギアは?兎にも角にも持っているものを車に積み込み、20時ごろ自宅を出る。
車を走らせながら飯を流し込み、仲間と計画を詰めていく。(集合場所まで2時間弱かかるので、別に慌てて食べなくてもよかったw)天狗のコルの下部あたりにヘッドライトが見えたそうだ。おそらく我々が根子岳に登る際の下山時に用いるルート上だ。
早く現着したA氏含めた先発隊と、22時ごろ着予定の自分と鹿児島の山仲間(以下B氏)の後発隊の2PTに分かれて入山。先発隊は21時ごろ入山。
我々後発隊は21半頃に合流。食料買い出しと装備の打ち合わせをする。緊張のせいか異様に喉が渇く。スティックパンを2本ほど追加で腹に入れ、22時頃入山。
23時頃、先発隊のヘッデンとその上(目測で100〜200m程?)に別のヘッデンが見える。
"おーーい"と叫んでみたり、ホイッスルを鳴し、ヘッデンを向ける。
要救の物と思われるヘッデンが付いたり、消えたりする。先発隊に無線を飛ばす。"要救のヘッデンは見えないがホイッスルの音は聞こえる"との事。我々も後を追って歩みを進める。
0時20分
先発隊が要救を発見する。
付き添いの方は無事。
滑落された方は、残念ながら仏様になられていました。
我々は現在地(2回目の懸垂下降の支点)で待機せよとの指示を受ける。
1時30分頃
先発隊と要救1名、また別PT(おそらく山岳部?)で救助に来られていた方と合流。
合流後はB氏と要救がアンザイレンし、私がビレイ(ロワーダウン)する形で下山を開始した。
適宜"ロープ張り気味で"などと指示を受けながら難所を抜けて行く。
3時頃
普段の倍以上の時間をかけてがれ場に到着。後はがれ場を歩くだけだ。
だが、下山間際でここでルートファインディングを誤ってしまい最後は藪漕ぎ。
5時頃登山口到着。要救を宿に送り届け消防に通報して行動終了。
今回の救助に当たって、夜間行動の能力、ルートファインディング、ロープワーク等、体力など総合的な力が要求された。
山に入る以上、リスクは0ではない。
我々には想像する力がある。リスクをコントロールする能力がある。常に初心を忘れずに、慢心することなく山に向き合いたい。
翌日公開されたニュース記事。
A氏記録
根子岳 遭難救助活動 2020-11-23 https://yamap.com/activities/8835814 #ヤマップ
B氏記録
根子岳 遭難救助活動
https://yamap.com/activities/8814832