アル中クライマーの忘備録

好物は酒と山と岩。

Garmin inReach Mini2レビュー

 

Garmin inReachi Mini2の日本語版が2022年4月20日に発売されました。

基本的な概要や導入方法、大まかな機能についてはほかの方がまとめてくださっているので省略。

今回、留守本部役を置いたうえで機能テストしてみた。結構使える気がしたので、忘備録として残しておく。

 

少し前置きというか前提条件を。

自分は普段、コンパス経由で登山届を提出しており、緊急連絡先を彼女にしている。

なお彼女自身も登山に精通しており、私がどういうアクティビティをしているかも理解している。今回は彼女氏を留守本部に置いた想定での試験運用とした。

 

利用想定① :留守本部(家族)への定時連絡。

利用想定②:メッセージの送信

利用想定③:緊急時の位置検索

利用想定④:トラックの送信/共有(Map share)

 

利用想定① :留守本部(家族)への定時連絡。

おそらく、最も高頻度で使用する機能。インリーチの3つの料金プランの中で、最も安いsaftyプランでも使い放題。

"位置情報付き"のプリセットメッセージを回数無制限で送信できる。

 

サラッと書いているこの機能・料金がインリーチの真髄と思っている。

 

山行のほとんどは問題なく下山できる。緊急時のために5万円もする端末を買って、月額利用料を払って・・・ってのは正直あほらしいし、そこまでの財力はない。という事で留守本部(家族)への連絡をメインに運用していこうと思う。

3つ設定できるプリセットメッセージを以下のように設定してみた。

1.順調。進みます。

2.遅れているが、問題なし。

3.行動開始/終了。

プリセットメッセージが届くと、受信者(留守本部)へはこのような以下のメールが届く。なお、メッセージの受信にあたって留守本部がすることはなく、普段使用しているアドレスが使用できる。
返信はメールに添付されているリンク先から行うことも可能。
※メールから返信はできないので要注意!

メールに記載されているリンクをクリックすると、MAP上に位置とメッセージが表示される。

メールの受信画面とリンク先

入山時に3.行動開始。とメッセージを送れば、そのあとは適宜1. or 2.のメッセージを送っていけばよい。inReach本体からメッセージを送る操作自体は10秒ほどで完了するので煩わしくない。

今まで"脱渓"や"登山道に出ました"など、ざっくりした形でしか連絡していなかったが、谷のど真ん中での小休止や、脱渓時にわざわざ機内モード解除してライン開いて・・・としなくて済む。(脊梁見たく主稜線に上がっても電波無い山あるしね・・・)

 

また、「別に大したことないんだけど、ちょっと遅くなる!!!」って時は少なからずあると思う。山に入ってる人間は何とも思わないけど待ってる側からすると「え、もう16時過ぎ・・・なんも連絡ないし既読もついてない・・・大丈夫かな・・・・救助要請・・・・?」と考えが巡ると思う。

そんなときも遅れるが問題なしと位置情報付きメッセージが1通でも来ていれば「ああ、下山の尾根上か」とわかる。

 

なお、プリセットメッセージは3種類設定でき、ネット環境があるところではいつでも(スマホ/PC)内容と宛先を変更することが出来るので、沢の時はこのプリセットでだれ宛。冬山の時はこれとフレキシブルに変更することができる。

 

利用想定②:メッセージの送信

プリセットメッセージだけでなく、inReachでは任意のメッセージ(半角160文字/全角80文字)を送ることが出来る。safetyプランでは月10通まで無料。以降1通0.5ドル。

①に挙げた通り、基本的には回数制限のないプリセットメッセージで運用。

特筆する場合には通常のメッセージを送ればコスパが良い。また留守本部から天気情報もらえれば心強い。また、スマホアプリと連携することでラインなどと同じ感覚でメッセージを作成/受信することが出来る。

(例1)

「テント場着。問題なし。予定通り明朝5時出発。天気は?」

「了解。午前中は晴れだが、15時から雷雨予報」

 

(例2)

「滑落発生。〇〇が負傷し意識なし。救助求む」

 

等といったようなやり取りが出来ればと思っている。

例1ではちょうど先日仲間が沢泊の2日目に大雨に降られたらしい。

深い谷でラジオも入らなかったようで「こういう時留守本部に天気の確認、翌日のエスケープ案連絡できたらいいね~」と話をした。

例2では、先日の国見岳捜索の件。今回の導入するきっかけになった最大のポイントでもある。

今回、要救助者発見した個所は圏外であり、電波を求めて道なき尾根を上がって主稜線にでた。しかしながらも通話するには厳しい電波上だったため、留守本部経由で通報させれば要救助者から離れることなく、迅速に救助要請が出来たものと思われる。

 

利用想定③:緊急時の位置検索

購入前はあまり気に留めていなかったが、有事の際に使えそうなのが位置検索。

下界から「お前どこにいる!?」とinReachに信号を飛ばし、強制的に位置情報を送信させることが出来る。

後述するMapShare上から"検索"することが出来る。

1枚目の★検索タブからinReachに位置情報のリクエストを送信することができる。

2枚目のMAP上の★マークが、リクエストに応じて送信された位置情報。

"これには最大で20分間かかる"とあるが、inReachの設定上メッセージを受信するのは1時間に1回なので、最大1時間ほどはかかるとみておいた方が良い。

 

連絡が途絶えた(事故発生)の際に外部から位置情報を取りに行けることで、翌日の初動がかなり早くなる。

 

YAMAPの見守り機能に似た機能だと思うが、YAMAPは"最後に圏内になった場所"が表示される。すれ違い通信という機能もあるが、沢ではほぼ確実にすれ違う事はない。

ココヘリはヘリが飛ぶまで要救助者の位置はわからない。

 

利用想定④:トラックの送信/共有(MAP SHARE)

何となくイメージはついていたが、購入するまでよくわかっていなかったMAP SHARE.

Map shareで出来ることとして、地図上でメッセージの表示、メッセージの送受信、そして位置検索を行うことが出来る。

地図上の〇がトラック、✉がメッセージの送信位置。

位置検索を行った場合、前項のように★マークが表示される。

それぞれのポイントを線でつなぎ、軌跡にしてくれる。

Map shareには個人ごとにページが生成される。パスワードや、公開期間を制限することも可能。

 

 

その他

・inReachの機能、そして山の事を理解した留守本部があることで性能を最大限発揮することが出来るデバイスだと感じた。

逆を言えば、山のことが何もわからない家族を受信者にしても効果半減だと思う。 

 

・圏外になる場所にはあまり行かない。ほかの登山者とよくすれ違うという方はココヘリやYAMAPの見守り機能で十分かもしれない。

しかし、人も電波も入らないところを嗜好する者にとっては非常に心強い端末であると感じた。

 

・通信速度

衛星の通信状況(?)によって、メッセージを送信するのに時間がかかる。

早ければ5~10秒ほど。長ければ2分ほど要したときもある。車で移動しながらの時もあったため、山だと状況が違うのかもしれない。

 

→2023.01追記

しばらく使ったところ、深い谷だと20分ほどかかることもある。

1.木が覆われてほぼ空が見えない→厳しい
2.一部が開けている→5分ほど
3.広く空が見える→数秒

衛星補足するまでずっと待機してくれるらしいので、谷歩くときはトラックの送信で開けた時に送信されるのを待った方がいいかもしれない。

 

 

・使用感

ボタンは大きく、クリック感は固め。プリセットメッセージの送信程度ならオーバーグローブした状態でも可能。

 

普段関わりのある方で、インリーチの導入考えているが、プリセットメッセージがどのように受信できるか体験したい。Map shareがどのような感じか見たい!って方がいたらテストとしてメッセージ送信、パスワードをお送りしますので、リプorDMお待ちしてます!

 

また、自分も探り探りではありますが、質問も随時うけつけております!!!