アル中クライマーの忘備録

好物は酒と山と岩。

Garmin inReach Mini 2 ~運用編~

昨年8月、GarminのinReach Mini 2を購入し「こんな機能があるのか。」「こんな感じで使えたらいいな~」というレビュー記事を書きました。

Garmin inReach Mini2 - アル中クライマーの忘備録

購入から約1年間、それなりに使用してきたので実際にどのように運用しているかをまとめていきたいと思う。

導入

Garmin messengerのダウンロード・登録

前回の記事で、"普段登録しているメールアドレスが使用できる"と書きましたが、しばらく使用しているうちに半分正解で半分誤りだという事に気づきました。

一方的にメッセージを受信するだけなのならメールアドレスで構わないのですが、双方向のやり取りをしたい場合、メールに記載されているリンクからの返信では送信履歴が残りません。

そのため、頻繁にやり取りをする家族や留守本部はGarmin Messengerのアプリをインストールし、その連絡先(電話番号)でやり取りした方が絶対良いです。

ちなみにGarminのデバイスを持っていなくても、電話番号だけで登録可能です。

www.garmin.co.jp

inReachの機能と運用方法

プリセットメッセージ(現:チェックイン)

あらかじめ設定したメッセージを位置情報付きで送受信することが出来ます。

登山開始時には送信するようにしています。それ以降は、大きな分岐など要所要所で送信し、大まかな状況が分かるようにしています。

特に渓流釣りでは、水量や現地の状況次第で複数の谷を転々とする事があるので重宝しています。

※以前はプリセットメッセージとして、3つの任意のテキストを設定し、課金することなく無制限で送信することが出来ましたが、2022/09/27以降のアカウント登録ではチェックインメッセージに置き換わりました。詳細は下記参照。

inReach:チェックインメッセージに関するよくある質問 | Garmin サポートセンター

不便になるようにも思えますが、ここ半年使用した限りでは"入山/下山" "異常なし"のメッセージを送ることが大多数だったため大きな影響はないと思います。

時折"遅れるが問題なし"というメッセージを使用していましたが、メッセージを使用するか、あらかじめ家族と"3番目のチェックインメッセージを送った時は遅れる"と打ち合わせておけばカバーできると思います。

プリセットメッセージとクイックメッセージ。プリセットメッセージの設定は現在は不可。

メッセージ

スマホと連携し、自由にメッセージを送ることができる。私は一番安いセーフティープラン(10通/月まで無料。以降1通ごとに$0.5)なので、ケチりがちです(笑)

また、テンプレとしてクイックメッセージを10個登録することができます。

実際に、下記の時にはinReachを使用して家族(留守本部)とやり取りをしました。

・提出した山行計画から変更が発生した時。

・行程が遅れる可能性があった時。

・下山が著しく遅くなった時。

・沢泊の行動終了の報告と、翌日の天気確認

位置情報付きのメッセージを送ることが出来る。※Messengerでは違う形式で表示される。

Messengerアプリ(受信者)の画面。Lineのようにやり取りができる。
Messengerアプリからはこのような位置情報の表示になる。
地形図が表示されないため、正直見にくい。

ラッキング

位置情報を一定の間隔で送信することが出来ます。最安のセーフティープランだと1ポイント毎に0.1ドル掛かるので、スマホやinReach本体をあまり触る余裕のないここぞという山行でしか使用していません。

泊まりの沢に行くときに、1時間毎に送信するように設定してみました。後述のMap Shareで見ることが出来ます。

 

Map Share

機能としては、Yamapやヤマレコ等に搭載されている"みまもり機能"に加え、メッセージの送信と位置情報の検索が出来ます。。

みまもり機能は携帯の電波が入った時しか更新されませんが、inReachならずっと圏外でも大丈夫。

※受信者へのメッセージは届かないため、定期的に確認する必要があります。

また、メッセージの宛先にMapshareを入れる事で、ページを知っている人ならだれでもメッセージを見ることができます。

1時間毎のトラック送信+プリセットメッセージを送った時のMap Share画面

注意事項

送受信に時間ががかかる時がある

稜線上では基本的に1分程度で送信されますが、谷筋だと時間がかかります。
inReach本体を防水袋に入れ、雨蓋に入れて沢登りしていますが、今のところ位置情報を送れなかったことはありません。
移動しながら空が開けているところに出たタイミングで送信されているのかと思われます。

また、移動しない場合は30~1時間ほど待つと送信されます。

inReachのメッセージの送受信に使われている周回衛星が、頭上に来たタイミングで送信できるのだと思われます。

https://www.soumu.go.jp/soutsu/shikoku/chosa/eisei_inet/pdf/bosai_06.pdf

総務省 衛星通信サービス概要。

普及しておらず、受信者が不慣れ

いざ、inReachを購入した所で、マイナーな機器の為に受信者をお願いしにくいです。

この記事によって、そのデメリットが解消されることを祈ります。

Garmin Messengerアプリ上では地形図が表示できない。

Garmin messengerでのやり取りでのデメリットとして、なぜかメッセンジャーアプリ上で地形図を開けないという事。メールに添付されるリンクだと見ることが出来るので、両方に送信するように設定すれば一応は解決します。

また、Garmin Messengerに記載されている座標をGeographicaや国土地理院で検索すれば地形図状で位置を表示させることが出来ます。

若干手間がかかるが、登山地図アプリで位置情報を反映させることが出来る。

導入した感想

登山者として

 衛星通信なんて、海外遠征や高所登山するわけでもないのに。大げさな。と思うかもしれません。しかし先日、渓流釣りで入渓直後に滑落。自ら救助を呼ぶことが出来ず3日後にようやく救助された方もいらっしゃいました。

 冬山登山や沢登り、渓流釣り等のリスクの高いアクティビティを行う中で、"どこでも連絡が取れる"という事は冒険性が損なわれてしまうのも事実。しかしその反面、家庭や社会人としての立場がある人が、そういった山行をするのであれば自分の状況を報告できる状態にしておく必要性もあると思っています。

 初期費用として端末代が約5万円。また、月額2,000円弱は高く感じますが、iPhoneが軽く10万を超え、通信料も数千円するこのご時世からすると決して高い投資ではないと思います。

(と、長ったらしく書きましたが要約すると「家族に不安な思いをさせずに思いっきり山を楽しみたい」なのです(笑)

家族として

いつも留守本部をお願いしている彼女(登山経験あり)に、自分がinReachを使うようになってからどのように感じたか、聞いてみました。

 

--待つ側の立場として、inreachは必要だと思う?(Yes or No)
Yes。
特にパートナーが、整備され携帯電話の通じるような大多数がしている登山でないので尚更。

 

--パートナーがinreachを持つことによって、何か変わった?

下山完了の連絡が来るまであった、不安がかなり減った。
現在地や進捗状況が把握出来るのはもちろん、万が一何かあった時にある程度の居場所がわかる事の安心感。これは絶大。(人生史上最悪な場合になったらせめて身体は帰って来て欲しい)

 

--メリット・デメリットがあれば。
【メリット】

・圏外になる山行が多く、みまもり機能は使用できず。ココヘリでは、パートナーがどういう状況にあるかわからないので、衛星通信が出来るinReachは安心感がある。


・遭難時の捜索スピードアップと生存率を上げるはず(遭難の経験がないので、はずとしか言えない)

【デメリット】
・ごくごく稀に位置情報の誤りがある。(1回だけ経験済み。非常に焦った)
 →おそらくテスト送信を大量に行っていた際の未送信だったメッセージが時差で送信されたものと思われます。
・地形図(例えばジオグラフィカ等)で見たい時に、若干の操作が必要な事。
(ガーミンとジオグラフィカが連携できるとありがたい。)
・送信に時間が掛かることがあるので、送られて来た位置情報が現在地とは限らない。
・自分の登山スタイルでは日常的に使わないので、習得し理解までに時間がかかる。頻繁に使わないとうろ覚えになるので、復習がいることも。(広い心で教えて下さい)


--ご自由に感想・所感をどうぞ!
金額の問題はあるがそれ以上の良さはあり。今思えば1割でも(たった1割りかい‼笑)手出ししても良かったなと思うぐらい、とにもかくにも待つ側の心の余裕が出た。

とても重要だと思うのが、パートナーと一緒にインリーチの使い方の擦り合わせ、文言やパターンの認識の統一は必要不可欠かなと。これがすれ違っては話にならないかと。

もしも救助になった場合、救助要請はもちろんだが(インリーチにSOS発信機はあるけど)、その日の山行は自分以外にも誰かに情報共有されているか、パートナーの山仲間にも即連絡すべきか、その時は誰に連絡すべきか。
「インリーチがあるから安心!」ではなく、日頃パートナーが、どんな山行スタイル、どんな山仲間がいてその仲間同士はどんな繋がりがあるのか、今回の装備は何か。
そういったパートナーの様々な情報を日常会話で触れておく事は、最悪の事態に貴重な情報源になる可能性もあるので、安心しきって胡座を描いていいと言う訳ではないなぁと。
なので日頃のコミュニケーションも大事だなと、改めて実感。
(彼はコンパスも利用しているのでそこも助かってます)
(よく遭難記事で見る「知らなかった」「興味なかった」ってあるけど、山をやっているから大丈夫ではないよね)

 

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それでは、良い登山ライフを!