アル中クライマーの忘備録

好物は酒と山と岩。

落ちました[経過]

前回の沢で落ちました(https://takayama.hatenadiary.com/entry/2020/07/16/183639)

 

7/16墜落。腰に痛みあるも激痛ではない。下山後シップを張って過ごす

7/17痛みは先日と変わらない。仕事のため病院には行けず。

7/18腰の痛みは変わらない。首がやや痛む。整形外科に行くと頸椎捻挫(むち打ち)、腰部打撲と診断される。薬(レバミピド錠、エペリゾン、ロキソプロフェンNa)とシップを処方される。安静にしろとのこと。

7/21再診。首、腰共に痛みは引いてきた。診てもらったところ「だいぶ軽度。痛みがなければクライミングしてよい。」との事。速攻ボルダリングに向かう。登ってるときに痛みはないが着地の衝撃が怖い。普通に一週間登ってなかったから登れなかったw

7/23ほぼ痛みはない(ちょっと肩こりひどいかな?ぐらいな感じ)ので、リードしてみる。全然普通に登れた。

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ハンマーの携行方法

拝啓。来年の私へ。

忘れないように沢登りのハンマーの携行方法を書いておきます。

 

買ったもの

・ハンマーホルスター(エーデルリッド)

 特にこだわりはなかった。近所の山道具屋に置いていただけ。

・リーシュ(トップ工業 スリムセーフティーコード)
https://www.toptools.co.jp/products/284/

高所作業の工具落下防止用。中にワイヤー入り。
取付け可能重量が0.5kg以下なので自分の使用しているチコ310gに適正。

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もともと細引きを付けていたが、絡まるし収納しにくいし・・・という事でホームセンターを徘徊していたところ発見した。

絡み防止のスイベルもついているし、ワイヤーも入っているしでよさそう。

やや高い(1000円ほど)だが、購入。

 

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次に、ハンマーホルスターに謎のパーツがついていたので細引きを通してみる。

専用のハーネスだったらこれで連結できるのでしょうか・・・?

 

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ハンマーのスピッツェにリングを通す。

 

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利き手側のギアラックの間にハンマーホルスターを取り付ける

 

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先ほどハンマーホルスターに通した細引きにカラビナ側をかける

 

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拡大図

 

 

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収納したときはこんな感じ。余分なたるみが無く、よい。

ホルスターに入れるときに少し引っかかりはあるが、そこまで気にならない。

 

この方法で先日沢に入って、ハンマーを使用したがコードの長さも十分で結構よかった。

落ちました。

2020/07/16

落ちました。

 

自分の周りで沢登り中の事故が2件立て続けにあり、十分に気を引き締めていたつもりだった。でも落ちた。戒めと反省ために書きました。

 

場所は某沢。未明頃に降った雨の影響で水量は増えていたものの、遡行に支障があるほどではなさそうだ。

4時間ほど遡行をし、全行程のちょうど中頃。8メートルほどの滝に出会う。

左岸のスラブに細いリスがある。4メートルほど登れば棚になっており、そこまで登れば簡単そうだ。

取付きの水深はひざ下ほど。

ナッツの1番を決める。アブミは持ってきていなかったので、スリングをアブミ代わりにし、乗り込む。続いて2つ目のナッツを決めようとするが、ややフレアしていてナッツが決まらない。ハーケンを打つが絶妙にリスの幅が広く、効きが甘いと感じた。根本までハーケンを打ち込み、先ほどと同様にスリングをかける。これに乗り込めばカムを決められそうなクラックがある。ここまでまともなプロテクションは取れていない。

ナッツからハーケンにジワーっと体重をかける。抜けない。

さらに体重をかける。抜けた。ナッツ側のスリングに体重を戻そうとしたがバランスが崩れた。スリングが足に引っかかり、体が反転した。ビレイヤーがスポットしてくれ、頭部からの墜落は免れた。

50cmほどの川底にザックから落ちた。ハーネスのパット越しに水中にあった石に腰をぶつけた。落ちた距離は2mほどだろうか?激しい痛みはない。が、歩いてるとやや痛む。

これ以降の遡行は迷惑をかけると思い、撤退を進言。(同時に雨足も強まってきた)

傾斜の弱い尾根を巻き、滝を迂回して林道をへて、なんとか自力下山することが出来た。

 

 

事故に対する警戒もあったし、"自分だけは大丈夫"との認識もなかったつもりだった。でも発生させてしまった。パートナーとも"今日は安全第一で"と話して入渓した。

なのに起こしてしまった。判断ミス、技術不足であった。

恥ずかしい限りですが、記録として。

 

撤退

自分がリーダーの山行で、初めて撤退の判断を下したので、その顛末を。

先日の記事どうやって山を覚えたか? - 山日記の中で"自分が登山技術を覚えた順番は"無事に生きて帰ってこれること"が先行した。" と書いた。

 

今回「経験無いけど沢登りしていみたい!」という方を連れていくことになった。

相方の知識技術経験がわからなかったため、通い慣れている沢を選択した。

開放的で美しい渓相の沢で危険個所はほぼない。登攀も3m程度の小滝がある程度で、フォールしてもドボン程度だ。さらに言えばすぐ真横に登山道があり、エスケープが容易なことである。そんな沢に連れて行った。

 

入渓してから4時間ほどワイワイと遡行していたが、メンバーの1名がゴーロで転倒。右足を負傷した模様。転倒後すぐには立ち上がれず、話を聞くと膝と足の甲に痛みあり。

沢の水で冷やさせる。10分ほど冷やし続けるも痛みは引かず、若干腫れが出てきた。

ここで"これから大した難所もないし、行けるところまで行こう"と"万全をとってここで下山しよう"の2つの選択が頭をよぎった。

そのメンバーは私より大柄で、もし悪化した場合、到底担ぐことはできない。そして何より負傷した状態で遡行する必要があるのか?と考え、「ここで撤退。すぐ脇の登山道に出て下山する」と決断した。

負傷したメンバーの観ていると、足をかばいながらなら歩ける様だ。負担を減らすために荷物は私が担いだ。下山路はよく整備されており、30分ほど歩いて入渓点にたどり着くことが出来た。

 

そして先ほどそのメンバーから連絡があったが、骨折と靭帯損傷だったとの事。

撤退の判断をしてよかった・・・。と思いました。

 

で終わったらただの感想なので、もうプラスアルファでリスク分析みたいなものを。重大遭難にならなかった要因としてよかった点の第一は計画ではなかったかと思う。

沢から数分で登山道に戻れるところでなければ苦戦が予想された。(その十数mでも痛がっていたので。)本当に登山道沿いの沢にしておいてよかった。

また、下山の遅れ/停滞に備えての装備(ヘッドライト、ツエルトetc)を持っていたため精神的な余裕があった。最悪鎮痛剤を飲ませて1晩ビバークか?とも考えた。

 

細かい反省点ではあるが、折り畳み式のトレッキングポールをいつもは携行しているが、今回に限って携行していなかった。あればもう少し楽させてあげれたのかと思う。

 

登山だけでなく仕事においてもですが、イレギュラーの発生時はいかに冷静に対処し、自分が何ができるか?もっとも生命の安全を確保するには何をすればいいのか?

を考える能力が必須と感じた。それと重荷を担げる体力。ライト&ファストという考え方があるが、自分は割と逆の考え方をしている。山(特に沢登りなど不確定要素が多い山行)に入るときはツエルト、非常食、ロープ、無線機等々の装備を担ぐようにしている。それらの安全装備を担いで歩く体力、登攀力がなければそれは自分の実力に対して見合っていない山であるとの考えをしている。

もちろん先鋭的な登山であればギリギリまで装備を削るという事もあるが、とっていいリスクととっていけないリスクの判断。挑戦と無謀は違うという点は強く意識している。

 

連れていかれる山と連れていく山

沢登り初めて今年で3年目。ありがたいことに"僕を(私を)沢に連れて行ってください"と言われる機会がぽつぽつ出てきた。

 

自分は今まで初心者で(今も初心者ですが)山に連れて行ってもらうとう山行のほうが多かった。

昨年から数名、沢登りを経験したことのないフォロワーさんと沢に行く機会があったので何を感じたか記しておきたい。

 

まず、抱える責任の重さが違うと感じた。
普通の登山に比べると沢は圧倒的に不確定要素が多い。よく沢は総合格闘技だと比喩されるのをよく見る。重い荷物を担いで歩けないといけない。登攀も出来ないといけない。ボルトなんて打ってるはずもなく中間支点は自分で作る。終了点に乏しいこともある。また、低い水温で震えることもある。脱渓した後はゴールまでどうやってたどり着けるか地形図と現場の地形とにらめっこする。

 

それなりに経験がある人と行くなら”あそこはこうやって突破しよう”とブリーフィングが出来るかもしれない。が、初心者を連れていくならその判断を自分がしないといけない。自分と対等なパートナーといけるレベルの沢が100とすると、完全な初心者を連れていける沢はレベル5ぐらいだと思う。

どこにどんな滝があって、どう攻略するか。それが頭に入っている沢じゃないと少なくとも自分には到底無理だ。

ビレイの経験もない人だと登攀要素のある沢は無理ですしね・・・。

 あと連れて行くにしても完全にガイドとして自分を見ている人とは今後行くことはないように思う。ロープワーク覚えて、対等なパートナーになろうという気持ちがなく、お客さん気分の人とはロープ繋ぎたいとは思わない。

それならお金払ってね♡って気持ちになります。

 

最後に.....

もちろん日頃から仲良くしていて、沢に興味持っている方だったら「よし行こう!!連れてっちゃる!!!」ってなります。喜んでる顔見るのも好きなので!!!

 

いつも仲良くしてくれるフォロワーさん、九州の沢でお待ちしています!

 

 

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どうやって山を覚えたか?

"どうやってクライミングを学んだんですか?”とリプをいただいたのでちょっと考えてみる。

 

ライミングと登山をする人、クライミングから登山を始めたor登山からクライミングを始めたのどちらかに分類されると思うが、自分は後者だ。

登山を始めて、登山の魅力に惹かれていくうちにバリエーションルートに興味を持った。バリエーションルートに行く手段一つとして登攀力が必要だと思い、クライミングを始めた。

ライミングやバリエーションルートを始めるなら山岳会に入るのが確実で手っ取り早いと思う。でも自分が山を始めたきっかけの一つで"人間関係が面倒くさい"ってところが1つはある。なのできっちりした組織に所属するという考えには至らなかった(今はパーティー組んで山に入るの大好きですけどw)

そもそも自分の周りの山岳会は年配の方のハイキングがメインの会が多い。俺はクライミングがしたいんだ。ということで山岳会には入らず、ずっと独学でやってきた。

 

 話は変わるが、僕は心配性で臆病だ。家出たとき「カギ閉めたっけ?」ってめっちゃ気になるタイプだ。開けっ放しだったことは100回中、2回ぐらいしかないけど。

だから自分が登山技術を覚えた順番は"無事に生きて帰ってこれること"が先行した。

地図読み→コンパスワーク→歩行技術→ビバーク→岩稜帯の通過(三点支持)→ロープワーク(懸垂下降→ビレイ技術→支点構築技術→セルフレスキュー)

だって痛いの嫌いだし、山で死ねるなら本望だ!!とかこれっぽちも思わない。

ましてやクライミングなんて一つのミスが文字通り致命傷になることもある。山に突っ込むには退路を断たないように(死なないように)しないといけないのだ。というのが今の僕の考え。孤高の人でも"馬鹿野郎!!!降りるほうが登るよりも何倍も難しいんだよ!!!”って名言あるし。名言ではないか?

 

それらの技術をどうやって学んだかというと、"独学"がメインだ。教えてくれる人なんてしませんし。
今の時代は良い。田舎でもインターネットさえあれば本が買えるし、登山技術について書いているブログや最近はYoutubeまである。

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購入した登山本。これ以外にも電子版を何冊か購入している。

ここで注意しておきたかったのが、"本やネットの知識だけで満足しないこと。経験が伴わない知識は不十分だという事"登山漫画の"岳"でも似たシーンがあったよね。知識が先行している大学生かなんかが冬山で遭難しちゃうやつ。

なので自分は本で読んだ知識を現地で試し、反省した。なんだったら山に行く度に家で反省文書いていた。これがダメだった。あれがダメだった。じゃあ次からこうしよう。

おかげ様で反省がなかった山行も増えてきたが、やっぱりたまにはある。

あと、独学でもし間違いがあればまずいもの(ロープワークなど)講習を受けた。それも0からの知識で「何もわからないけど教えてください~。」って受け身のスタイルではなく、予習していって「自分が学んだことは間違いではなかった。」と答え合わせのイメージだった。

 

臆病になりながら少しずつステップアップしていく。一通りの技術を覚えた段階でバリエーションを積極的に行っている方にSNSで連絡を取り、冬壁や沢登りに連れて行ってもらって経験を積むことが出来た。その方とは疎遠となったが、それらの繰り返しで簡単な沢ならリーダーとしていけるようになったし、マルチピッチでもリードで登れるようになった。あと一番でかかったのはいっしょに山始めたパートナーがいたことかな。切磋琢磨して遊べるフィールドが広がっていっている。

 

まだまだ雪山とかレスキュー、登山の歴史や人物などの知識は全然ないのでこれからも初心を忘れず、成長していきたい。

比叡山ニードル左岩稜の核心ピッチをリードで抜けれた話

比叡山-宮崎県北部の延岡市に聳え立つ花崗岩の岩峰。

九州でクライミングをする者なら一度はあこがれる岩場であろう。

その比叡山に"ニードル"と呼ばれるピークがある。

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